透析合併症予防・治療について

  1. HOME
  2. 人工透析診療案内
  3. 透析合併症予防・治療について

透析合併症予防・治療について

当院では、透析患者さん特有の様々な合併症の予防や治療に取り組んでいます。

透析患者さんの合併症のひとつに、足の血管の石灰化と糖尿病による動脈硬化があります。これによって血管が細くなり、血流が低下してくることがあります。足の血流が悪くなると、傷を治すために必要な血液や酸素が行き渡らず、小さな傷が治りにくくなり、悪化してしまうため、日頃の観察が重要です。
また、糖尿病があると足の感覚が鈍くなり、痛みを感じにくいため、足の異常に気づきにくくなります。加えて、足の指に変形が起こると、タコや靴擦れができやすい状態となるため、極めて足の病変が生じやすい状況と言えます。 これらを予防するために、毎月フットチェックを実施し、創傷の予防のためのフットケアに取り組んでいます。
透析患者さん全員に、年1回の血流検査を行い、血流の低下がみられた方には、院内でできる治療としてフィラピー(※)という機器を用いた遠赤外線療法を開始します。症状によっては、他院の循環器内科等との連携をしています。フィラピー開始後も毎月足の確認を行い、足病の早期発見に努めています。
また、フットケアには、保清や保湿、胼胝や鶏眼の処置、分厚くなった爪を専用の機械で削るケアなどがあります。日頃の観察とケアが合併症の予防にはとても大切です。

※フィラピーについて
【対象になる患者さん】

  • シャント閉塞、狭窄を再々おこす方
  • 閉塞性動脈硬化症が原因で下肢の傷が治りにくい方
  • 人工透析を行う為にシャントを作成したが充分に育たない方

【治療方法】

1回の治療時間を30分とし、目的部位へ光線をあてます。
熱さや痛みを感じることはありません。

シャント超音波検査

透析患者さんにとってシャントは透析を行うために必要で命綱とも言えます。そんなシャントを長持ちさせる事が透析の効率やQOL(生活の質)にも関わってきます。
当院では、シャントを長持ちさせるために、超音波検査機器を用いています。
超音波の画像を確認しながら透析開始時の穿刺を行なうことで、最適な位置への穿刺ができるため、シャントへの負担を軽減できます。
また、超音波検査は、シャント血管の全体的な走行、シャントを流れる血液の量、透析治療のための針刺し部位の血管の状況、血管の狭窄や血栓・石灰化の有無などを調べることが出来ます。定期的に行う場合と、シャントの音が悪くなってきたり、触ってもわかるほど血管が細くなってきたり、治療に必要な血流量が確保できなくなって来たりした時に行う場合がありますが、いずれの場合もシャントの不具合を早期に発見し、早期治療を行なうために実施しています。
不具合があった場合の治療の代表例は、血管内の治療(シャントPTA)で、当院ではほぼ毎日、実施可能な体制を整えています。